項目
試験と特認
行政書士になるには、2つのルートがあります。
1つはオーソドックスな、行政書士試験に合格する方法。
もう1つは一定の行政職務経験に基づいて行政書士登録をする方法です。いわゆる特認制度です。
試験合格者を試験組というのに対して特認組といわれることもあります。
特認行政書士になる為の要件
特認行政書士になるには、単に公務員であったというだけでは足りず、次の要件を満たす必要があります。
1.概ね20年以上(高校卒業以上は17年)の行政職務経験があること。
2.この行政職務経験が行政事務に関するものであること。
定年後、あるいは20年ないし17年以上務めた、一般の市役所等の職員であれば通常は認められるでしょう。
これに対して、やや特殊な行政職である自衛官や警察官などはどうでしょうか。
自衛官
私は予備自衛官(技能・法務)なのですが、訓練でお会いした現役自衛官の方のお話を聞くと、自衛隊勤務と言っても事務作業を全くしないということはない、階級が上がっていけば事務の割合も大きくなっていくとのことでした。
実際、後に部隊長経験者の自衛隊OBで行政書士になった方にお会いする機会がありました。
となれば、自衛隊勤務も十分に行政事務経験と認められると言えるのではないでしょうか。
警察官
警察官については、その職務について直接詳しいお話を聞く機会は得られていないのですが、自衛官に比べて特認行政書士になった方の事を聞く機会は多いです。
経験を活かして風営法関係の許認可を取り扱っているという方もいらっしゃるようです。
推測にはなってしまいますが、自衛隊同様、多くの職務では事務作業を伴うと言えるのではないでしょうか。
特認で行政書士になれるか確認するには
もっとも、上記は「なれないことはない」という話にとどまります。
そこで、茨城県行政書士会に尋ねてみたところ、自衛官でも警察官でも行政書士登録をしたケースはあるとのことです。
具体的にどのような業務に携わっていれば登録が可能なのかも尋ねてみたのですが、「登録ができるかは希望者の携わっていた業務ごとに個別に判断されるので、一律の基準を示すことはできない」とのことでした。
他面、行政事務経験で行政書士登録できるか、個別に照会するための手続が設けられているとのことです。
具体的には、行政書士会に連絡して特認で登録希望である旨を伝えると、照会書(ヒアリングシート)が送られてくる。
そして、これに自衛隊や警察時代に携わった職務を記入して返送すると、行政書士会から登録できるか回答がなされるというものです。
正確には、各都道府県の行政書士会(単位会ともいいます)から更に本体ともいうべき日本行政書士会連合会に照会がなされ、日行連からの回答が都道府県会を経由して照会者に送られるという形になります。
私が問い合わせたのは茨城県行政書士会でしたが、恐らくはどの都道府県の行政書士会でも大体似たような方法が設けられているだろうとのことでした。
なお、費用はかかりません。
まとめ 行政書士登録できるかの確認方法
1.開業予定地を決める
2.開業予定地の都道府県行政書士会に特認で登録希望である、登録可能であるか照会を行いたい旨を伝える。
問い合わせ先は事務所開設予定地、開業予定地の行政書士会です。住所地と開業予定地の都道府県が異なる場合は注意してください。
3.送られてきた照会書に自分の職歴を記入して返送する。
以上となります。
行政書士登録に興味のある自衛隊、警察OBの方は、一度照会を行ってみてはいかがでしょうか。
※ 登録を検討しているOBの皆さんへ(追記)
私の事務所にも時々、本記事を見た方から「自分は〇〇という階級で△△という業務に従事していた。行政書士になれるか」といった質問が来ます。
ですがあいにく、登録可能かを私の方で判断することはできません。
質問者の方の殆どは自衛隊のOBの方です。自衛隊では他の官公庁に問い合わせたり照会したりという事はあまりないのでしょうか?
そうすると、行政書士会への問い合わせや照会は、最初は敷居が高く感じるかもしれません。ですが、行政書士登録したら関係各所への問い合わせや照会は日常茶飯事です。
行政書士登録手続は申請書を作成したり添付書類を用意したりと、最初の行政書士業務とも言われています。行政書士会への問い合わせも、この最初の業務に含められるでしょう。
行政書士会への問い合わせ、照会。最初の業務の内と思って頑張ってみましょう。