相続による自動車の名義変更の必要書類、手続は、普通自動車と軽自動車で異なります。
項目
普通自動車の名義変更の場合
必要書類
① 戸籍謄本
② 遺産分割協議書
③ 車検証
④ 印鑑証明書
⑤ 車庫証明(必要な場合)
⑥ 委任状(代理人が行く場合)
① 戸籍謄本
普通自動車の相続による名義変更(移転登録)では、以下の戸籍が必要となります。
・被相続人の死亡が記載された戸籍
・相続人全員分の戸籍
例えば、父親Aと妻B、子C・Dの家族でAが死亡した場合、1つの戸籍に父親Aと妻B、子C・Dが記載されていれば、当該戸籍1通があれば足ります。
子Cが結婚して他に戸籍が作成されている場合は、上の戸籍のほか、Cの戸籍の計2通が必要となります。
戸籍一式に代えて法定相続情報を利用することもできます。
② 遺産分割協議書
自動車を誰が相続するかを記載した遺産分割協議書です。
相続人全員の署名と実印による押印が必要です。
原本還付が可能ですので、他の財産についても協議がされた協議書の場合は還付しておきます(コピーを提出し、内容を照合の上、原本を返却してもらいます)。
※参考
⇒遺産分割協議書作成の流れ
③ 車検証
名義人が被相続人になっているか確認します。
原本の提出が必要です。
④ 印鑑証明書
名義人になる相続人の印鑑証明書が必要です。
これも原本が必要です。また、発行から3ヶ月以内のものであることも必要です。
他方、不動産の名義変更と異なり、名義人にはならない他の相続人については印鑑証明書は不要です。
⑤ 車庫証明
名義変更に伴って自動車の保管場所や名義人の住所が変わる場合には、改めて車庫証明を取得し、提出する必要があります。
車庫証明は、自動車を保管する場所を管轄する警察署で行います。申請から発行まで数日かかります(道府県によって異なります)。
手数料は2,600円です。
⑥ 委任状(代理人が行く場合)
名義人となる方本人ではなく、家族の方が変わりに行くような場合、委任状が必要です。
委任状には名義人となる方の実印による押印が必要となります。
名義変更の手続
普通自動車の名義変更の手続は、名義人となる方の住所地を管轄する陸運局で行います。
名義変更に伴い管轄陸運局も変わる場合はナンバーも変更となるので、自動車を陸運局へ持ち込む必要があります。
① 名義変更手数料の支払い
名義変更手数料は、陸運局の構内で販売されている印紙を購入し、申請書と一緒に提出することで支払います。
手数料は500円です。
② 申請書の作成
陸運局に、名義変更用の申請書類が備え置かれています。
記載例も用意されているので、これを参照しながら必要事項を記載していきます。
本人が手続に行く場合は、申請書に実印で押印する必要があります。
③ 申請
申請書が完成したら、戸籍や車検証などの必要書類一式とともに窓口に提出します。
④ ナンバープレートの購入、封印
管轄陸運局が変わり、ナンバーも変わる場合は、ナンバーを購入します。
料金は1,500~2,000円程度です。
普通自動車のナンバーは、自動車に設置した後、陸運局の係の人に封印をしてもらう必要があります(このため自動車の持込が必要となります)。
⑤ 税申告
続けて、自動車取得税の申告を行います。
この申告も陸運局の構内で行います。
購入から5年を経過している場合は、通常は税は生じませんが、納税額が0円でも、この申請は行う必要があります。
税が発生するか、納税額がいくらかは都道府県税事務所で確認できます。近年に購入した場合は、予め確認しておくとよいでしょう。
申告書は窓口の近くに備え置かれているので、記載例を参照しながら記載し、窓口に提出します。
税が生じた場合は、現金で支払い、手続は終了となります。
軽自動車の名義変更の場合
必要書類
① 戸籍謄本
② 車検証
③ 住民票
④ 委任状(代理人が行く場合)
① 戸籍謄本
軽自動車の場合は、普通自動車に比べて必要な戸籍は少なくて済みます。
必要な戸籍は以下です。
・被相続人の死亡が記載された戸籍
・名義人となる方が相続人であることがわかる戸籍
普通自動車と異なり、相続人全員の戸籍までは必要ありません。
父親Aが死亡し、妻B、子C・Dが相続人で、自動車の名義をBに変更する場合、仮にCが結婚して他に戸籍が作成されている場合でも、ABDが記載された戸籍1通があれば足ります。
軽自動車の場合も、戸籍一式に代えて法定相続情報を利用することもできます。
② 車検証
名義人が被相続人になっているか確認します。
原本の提出が必要です。
③ 住民票
名義人となる相続人の住民票です。コピーも可です。
なお、住民票に代えて、軽自動車税納税証明書という書面を提出することもできます。
市役所で取得でき、無料なので、戸籍等を取得しに市役所へ行く場合は、一緒に取得しておくとよいでしょう。
④ 委任状(代理人が行く場合)
軽自動車の場合は、正式名称を申請依頼書といいます。
家族の方などが代わりに行く場合は、名義人となる方の記名押印が必要です。
押印は認印でも可です。
名義変更の手続
軽自動車の名義変更の手続は、名義人となる方の住所地を管轄する軽自動車検査協会で行います。
軽自動車の場合は、ナンバーが変わる場合でも自動車を検査協会へ持ち込む必要はありません。
ナンバーを取り外して手続に行くこともできます。
① 申請書の作成
検査協会に、名義変更用の申請書類が備え置かれています。
記載例も用意されているので、これを参照しながら必要事項を記載していきます。
本人が手続に行く場合は、申請書に押印する必要がありますが、認印も可です。
なお、軽自動車の名義変更には手数料はかかりません。印紙を購入する必要もありません。
② 申請
申請書が完成したら、戸籍や車検証などの必要書類一式とともに窓口に提出します。
③ ナンバープレートの購入、封印
管轄検査協会が変わり、ナンバーも変わる場合は、ナンバーを購入します。
料金は1,500~2,000円程度です。
普通自動車のように係の人に封印してもらう必要はないので、自分で取り付けるか持ち帰って取り付けるかします。
④ 税申告
名義変更をしたら、自動車取得税の申告を行います。
この申告も検査協会内で行います。
購入から5年を経過している場合は、通常は税は生じませんが、納税額が0円でも、この申請は行う必要があります。
税が発生するか、納税額がいくらかは都道府県税事務所で確認できます。近年に購入した場合は、予め確認しておくとよいでしょう。
申告書は窓口の近くに備え置かれているので、記載例を参照しながら記載し、窓口に提出します。
税が生じた場合は、現金で支払います。管轄が変わらない場合は、これで手続終了です。
⑤ 税止めについて
なお、管轄が変わる名義変更の場合、軽自動車では、名義変更に伴い自動的に納税者情報が変更にはなりません。
このため、従来の所有者へ納税通知書が行かないようにするためには、自分で市役所で税止めの手続をするか、検査協会へ依頼して税止めの手続をしてもらう必要があります。
協会へ依頼する場合は、1,600円がかかります。
⑥ 車庫証明について
軽自動車では、名義変更に車庫証明は必要ありません。
ただ、自動車の保管場所や名義人の住所が変わる場合には保管場所の届出をする必要がありますので、忘れないように手続を行っておきます。
手続は保管場所を管轄する警察署です。手数料は500円です。
◇ その他相続手続に関する情報
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