項目
相続人となりうる親族間≒婚姻不可
相続人の範囲、結婚できる親族の範囲は、それぞれややこしい部分があります。
極めて大雑把に言えば、婚姻ができない親族間では相続人となりえ、相続人となりうる親族間では婚姻はできない、ただ、いわゆる義理の親子は別異と言うことができるでしょうか。
対比して記してみたいと思います。
三親等内の血族
婚姻ができないのは三親等内の血族、すなわち、親子、兄弟姉妹、おじおば・甥姪間。逆に四親等以降が婚姻可能、いとこ同士の婚姻は可能であることはご存じの方も多いかと思います。
他方、親子、兄弟姉妹、おじおば・甥姪間は婚姻ができないとされている一方、相続人となることが可能です。
親子間は親、子いずれが死亡した場合でも相続人となりえます。子供が先に死亡した場合は、子供に更に子がいなかった場合に親が相続人となりえます。
兄弟姉妹間でも相続人となりえます。死亡した兄弟姉妹に子がなく親も既に死亡していた場合です。
おじ・おばと甥姪間も相続人となりえます。おじ・おばが死亡し子がなく親も兄弟姉妹も死亡している場合、その死亡した兄弟姉妹の子である甥姪が相続人となりえます。
ただ、おじ・おばと甥姪間の場合は、おじ・おば→甥姪の相続のみが可能です。甥が死亡しておじが相続人となるということはできません。
いとこ同士は婚姻が可能である一方、相続人となることはできません。
義理の親子
養親子
養子縁組(以下、普通養子縁組とします)がなされている場合は実の親子と同様の扱いとなります(法定血族)。
例えば子供のいない夫婦C太とD子がA男を養子としたがC太が死亡または夫婦が離婚した場合、A男とD子が婚姻することはできません。
実の親子と同様の扱いなので相続も同様に生じます。C太、D子が死亡した場合、養子A男は相続人となることができ、A男が先に死亡した場合も一定の場合、養親C太とD子は相続人となることができます。
連れ子
息子A男がいる父親C太とD子が再婚したがC太が死亡し、または夫婦が離婚した場合、A男とD子が婚姻することはできません。
このような連れ子と親の再婚相手について、義理の親子と言われますが、養子縁組をしていないのであれば法律上は赤の他人となります。
法律上は赤の他人なのですが、倫理等の理由により婚姻は不可とされています。
また、法律上は赤の他人である以上、相続は生じません。
C太が死亡した場合、A男は当然相続人となることができますが、D子が死亡した場合はA男は相続人となることはできません。
配偶者の父母
A男とB美が結婚したが、B美が死亡し、または夫婦が離婚した場合、A男と妻であるB美の母親D子が再婚することはできません。A男が死亡し、または夫婦が離婚した場合のB美とA男の父親C太の再婚も同様です。
結婚相手の親との関係も義理の親子と呼ばれますが法律上は赤の他人です(姻族とはなるのですが分かりやすくここではこう表現します)。ですが、上記の婚姻は不可とされています。これも倫理等の理由によります。
法律上は赤の他人であるため相続も生じません。
C太が死亡した場合、A男は相続人となりますがB美は相続人となりません。D子が死亡した場合もB美は相続人となりますがA男は相続人となりません。
義理の兄弟姉妹
養子縁組による兄弟姉妹
娘B美のいるC太、D子の夫婦がA男を養子とし、A男とB美が結婚した。
養子縁組によりA男とC太、D子には親子関係が発生し、A男とB美は義理の兄妹、姉弟となりますが、婚姻は可能とされています。
婿養子がこれに該当するので、婚姻が可能であることはご存じの方が多いかと思います。
B美が死亡した場合、A男は少なくとも配偶者として相続人となります。
A男がC太、D子の養子になるにとどまり、B美と結婚はしなかった場合でも、B美が死亡した場合は一定の場合、兄弟として相続人となりえます。
連れ子同士
息子A男がいる父親C太、娘B美がいる母親D子が再婚した場合、それぞれの子供同士、A男とB美は義理の兄妹、姉弟と言われますが、このような連れ子同士は法律上は赤の他人にとどまります。
そのため婚姻に問題はなく、A男とB美の婚姻は可能です。
他方、法律上は赤の他人である以上、連れ子同士は互いの相続人となることはできません。
A男が亡くなり子がなくC太も既に亡くなっていた場合でも、B美は相続人となることはできません。