遺産分割協議が必要な場合

亡くなった被相続人の財産を相続人で分けるためには、協議を行う必要があります。

遺産分割協議です。

無論、この協議をしなければ一切財産を相続できないというものではありません。協議をしないのであれば、法定相続分に従って相続が行われることとなります。

例えば、被相続人が父親A、相続人が妻のB、子のC・Dである場合、土地建物や車などの各財産が、それぞれB2分の1、C4分の1、D4分の1の共有となります。

 

このように、法定相続分で相続すると、それぞれの財産に関する各種の手続が煩雑となり、後に処分しようとするときに支障となったりしもします。

このため、相続人が複数である場合、通常は遺産分割協議を行います。

 

書面の作成は法律上の要件ではないが

この遺産分割協議は、相続人間で合意がなされれば有効に成立します。

協議書を作成することまでは法律は求めていません。

 

もっとも、後のトラブルを防ぐためには書面としておくのが望ましいです。

また、不動産の名義変更には、遺産分割協議書が必要となります。

 

遺産分割協議書の作成の流れは、概ね以下となります。

 

  1. 1.相続人の確定
  2. 2.協議の対象とする財産の決定
  3. 3.相続財産帰属の決定
  4. 4.協議書の作成

 

1.相続人の確定

遺産分割協議は相続人全員で

遺産分割協議は、法定相続人の全員で行う必要があります。

もしも、1部の相続人が漏れてしまうと、当該協議は無効となってしまいます。

 

そこで、戸籍を収集し、全ての相続人を確定します。

上記の設例では、戸籍を確認し、AにB・C・D以外の相続人がいないかを確認します。

いなければ、法定相続人はB・C・Dの3人となり、遺産分割協議は、この3人で行う必要があり、かつ、それで足りることとなります。

 

2.協議の対象とする財産の決定

相続人が確定したら、全員で協議を行います。

なお、全員で協議と言っても、一堂に会して行う必要まではありません。持ち回りで行うことも可能です。

 

まず、今回の協議の対象とする財産を決めます。

全ての財産について協議することは勿論、1部の財産についてのみ協議することも可能です。

例えば、被相続人の財産が、土地建物、車、預貯金であった場合、とりあえず土地建物について協議を行うということも可能です。

 

3.相続財産帰属の決定

誰がどの財産を取得するか、財産の帰属を決めます。

例えば、設例で、土地建物はBが引き続き住めるよう、Bが、車はCが、預貯金はDが、それぞれ取得する等です。

前述のように、Bの住居は確保しておくために、とりあえず土地建物についてのみ、Bが取得するという協議を行うことも可能です。

 

4.遺産分割協議書の作成

協議が整ったら、遺産分割協議書を作成します。

協議の内容を反映させた協議書を作成したら、相続人全員で署名、押印します。

印鑑は、実印を用います。

後のトラブル防止になり、また、不動産の相続登記の際は実印での押印が求められています。

この際、押印を2ヶ所にしておくと(捨印)、書き間違えの訂正等、軽微な修正が可能となります。

 

⇒遺産分割協議書記載例(法務局公式サイト。21)相続・遺産分割内)

※不動産登記用(法務局提出用)のものですので、ケースに合わせて内容を整えて下さい。

 

協議書が複数ページに亘る場合

協議書が複数ページとなる場合は、頁の境目にも、契印します。

遺産分割協議書は、各種の手続に利用するほか、後日のトラブル防止の機能も有します。完成したら、無くさないように大事に保管します。

 

◇ その他相続手続に関する情報
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