相続登記には期間制限なし

相続が発生すると、様々な手続が必要となります。

その中には、期限が定められているもの、定められていないものがあります。

では、相続登記、すなわち、相続財産の中に不動産があった場合の名義変更に、何時いつまでに登記を完了しなければならないというような期限はあるでしょうか。

 

相続登記については期限はありません。

 

理論上は、相続開始から5年後、10年後、100年後でも登記申請はすることができます。

 

ただし、相続登記に必要な書類、例えば住民票の除票や戸籍の附票は発行されてからの有効期間の制限はないものの、役所での保管については、原則として5年の保管期間が定められています。

また、戸籍自体も失われてしまうケースもあります。

そのため、これらの書類が廃棄されてしまってからの相続登記は、代わりとなる証明書や権利証等を集めたり、法務局に対する上申書を作成したりと、通常の相続登記よりも手間と時間がかかります。

司法書士に依頼する場合、費用も増大します。

 

更に、相続から年数が経過しすぎると、相続人の数が膨大となり、事実上相続登記ができなくなることもあります。

 

相続登記は義務ではないため、放置してしまうことも少なくありません。

しかし、放置してしまうと、いざ売りたい、貸したいというときにスムーズに手続ができなくなったり、事実上売却等を断念しなければならなくなることも、また少なくありません。

やはり、相続登記は早めに行っておくことをお勧めします。

 

期間制限のある相続手続

上記のように、相続登記は期間制限はありません。

ただ、相続手続には、期間制限が定められているものがあります。

 

相続放棄

相続放棄、例えば被相続人の借金を引き継がないようにするために相続放棄をする場合、3ヶ月の有効期間があります。

⇒相続放棄の3ヶ月の期間制限について

相続放棄は相続登記にも関連することがあります。

特定の相続人に全ての財産を承継させるために他の相続人が相続放棄を行う場合、3ヶ月以内に相続放棄の手続を行う必要があります。

 

遺留分減殺請求

被相続人が全財産を特定の人に譲る旨の遺言をしていたような場合でも、一定範囲の相続人には一定割合で自分の相続分を確保する権利が認められています。

遺留分減殺請求権と言います。

この遺留分減殺請求権には、1年の期間制限があります。

 

相続税の納税

相続財産が一定額以上になると、相続人に相続税の納税義務が生じます。

相続税が発生するかは、3,000万円+600万円×法定相続人の数の計算で判断されます。特例により額が変動することもあります。

この相続税の納税は10ヶ月の期間制限があります。

 

◇ その他相続手続に関する情報
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